経理・財務スキル検定(FASS)のすすめ

資格・勉強法

「経理・財務スキル検定っていうのがあるらしいんですけど、日商簿記とは違うんですか?」経理チームに異動になったばかりの後輩から、そう尋ねられたことがあります。総務畑を歩いてきた私は、日商簿記の勉強はひととおりしていたものの、恥ずかしながら「経理・財務スキル検定」という名前を聞いたことがある程度で、中身をきちんと説明できませんでした。

後から調べてみると、これは通称「FASS(ファス)検定」と呼ばれるもので、経理・財務分野の実務スキルを測ることを目的とした検定だとわかりました。日商簿記が仕訳や決算整理といった会計理論の体系を積み上げていくのに対して、FASS検定は実際の経理・財務の仕事の流れに沿って、どこまで実務を理解できているかを問う内容になっているようです。

総務や経理の実務を数年こなしていると、自分の担当業務については自信が持てる一方で、「他の人がやっている部分は実はよく分かっていない」ということが少なくありません。今回は、実務経験者が自分のスキルを棚卸しする目的で受検することが多いというFASS検定について、その特徴と勉強法を、実務の立場から整理してみます。

FASS検定はどんな内容を問う検定なのか

会計理論ではなく、業務プロセスを軸にした構成

日商簿記などの資格は、簿記一巡の手続きや会計基準といった理論の体系を学ぶことに主眼が置かれています。一方でFASS検定は、経理・財務部門が実際にこなしている業務のプロセスに沿って、必要な知識と実務理解度を確認する構成になっているのが特徴だと感じます。理論を積み上げるというより、「この業務ではこういう処理や判断が必要になる」という実務目線の内容が多く、経理・財務の仕事を一通り経験した人ほど、自分の担当業務と重ね合わせながら学習を進めやすいはずです。

資金決済・税務・資産や決算/財務・業務基盤という広い領域

出題される内容は、資金決済、税務、資産・決算・財務、業務基盤といった、経理・財務部門が扱う実務領域を幅広くカバーしていると言われています。具体的な出題範囲や配点、合格の目安などは年度や実施団体の案内によって変わる可能性があるため、正確な情報は必ず主催団体の公式サイトで最新情報を確認してほしいのですが、少なくとも「経理」とひとくくりにされがちな仕事が、実はこれだけ幅広い領域に分かれているということは、学習を始める前に知っておいて損はないと思います。

実務経験者が「スキルの棚卸し」に使うケースが多い

FASS検定は、これから経理を学び始める人向けというより、すでに経理・財務の実務にある程度携わっている人が、自分の知識やスキルに偏りがないかを確認する目的で受検することが多いようです。私自身も、総務として給与や社会保険の手続きには慣れていても、資金繰りや税務申告の実務には正直あまり自信がありませんでした。担当業務の延長線上でしか知識が身についていないと、いざ異動や引き継ぎがあったときに「聞いてはいたけど、実際の流れは分からない」という状態になりがちです。FASS検定は、そうした自分の弱点を可視化する棚卸しのツールとして向いている検定だと感じます。

勉強を通じて経理・財務全体を俯瞰する視点を身につける

自分の担当外の領域をあえて重点的に学ぶ

FASS検定の勉強法として個人的におすすめしたいのは、自分の担当業務と関連が薄い領域を、あえて重点的に学習することです。日々の業務で使っている知識は実務を通じて自然と身についていきますが、普段触れない領域は、意識して勉強しないといつまでも手薄なままになりがちです。資金決済や税務など、担当外で後回しにしやすい分野から手をつけることで、経理・財務全体を俯瞰する視点が身につきやすくなると思います。不思議なもので、普段関わりの薄い分野を勉強してみると、自分の担当業務の位置づけが以前よりはっきり見えてくることもあります。たとえば税務の流れを学ぶと、日々の経理処理が最終的にどこにつながっていくのかが見えてきますし、資金決済の仕組みを学ぶと、支払い業務の裏側にある資金繰りの視点が加わります。点だった知識が、隣接領域を学ぶことで線としてつながっていく感覚があります。

異動やジョブローテーションに備える意味でも有効

総務・経理の仕事は、会社の規模や体制によって担当が細かく分かれていたり、逆に一人で幅広く担当していたりと様々です。将来的な異動やジョブローテーションを見据えると、経理・財務の全体像をあらかじめ俯瞰しておくことは、決して無駄にはならないはずです。FASS検定の学習を通じて得られる知識は、実際に異動した瞬間から即戦力になるというより、「知らないことを知っている」状態を作ってくれる点に価値があると感じています。

  • FASS検定は、会計理論よりも経理・財務の実務プロセスに沿って実力を問う検定
  • 資金決済・税務・資産や決算・財務・業務基盤など、経理・財務の幅広い実務領域を扱う
  • 実務経験者が自分のスキルを棚卸しする目的で受検するケースが多い
  • 勉強法としては、自分の担当外の領域をあえて重点的に学ぶのがおすすめ
  • 苦手分野の学習を通じて、経理・財務全体を俯瞰する視点が身につく
  • 出題範囲や実施方法などの詳細は、主催団体の公式サイトで最新情報を確認してほしい

資格の勉強というと、つい新しい知識を「増やす」ことに目が向きがちですが、FASS検定は、すでに自分の中にある知識の凸凹を確認し、経理・財務全体を見渡す視点を養うための検定だと感じています。日々の担当業務に追われていると忘れがちなその視点を、たまには棚卸ししてみる。そんなきっかけとして、FASS検定を検討してみてはいかがでしょうか。

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