「議事録、また溜まってる…」会議が続く週は、録音データや殴り書きのメモだけがどんどん増えて、清書が後回しになりがちです。話した内容は覚えているうちに形にしたいのに、他の業務に追われて気づけば数日後、記憶も曖昧になってから慌ててまとめる。総務の仕事をしていると、こういう経験がある方は多いのではないでしょうか。
私自身、議事録作成に毎回それなりの時間を取られていましたが、ChatGPTやClaudeといった生成AIに下書きを作らせる方法に切り替えてから、作業時間が大きく減りました。そして時間以上に効いたのが、会議中に「一言一句メモを取ること」から解放されて、議論そのものに集中できるようになったことです。個人的には、これがAI活用のなかで一番効果を感じている使い方です。
この記事では、私が実際に使っているプロンプト(AIへの指示文)の全文と、走り書きメモが議事録になるビフォー・アフターの実例を交えながら、議事録作成にAIを活用する具体的な進め方を紹介します。
※2026年8月更新:実際に使っているプロンプト全文3本とビフォー・アフターのサンプル、失敗談を追加して大幅に加筆しました。記事内の会議内容・人名はすべて架空のサンプルです。
議事録作成にAIを使う基本的な流れ
やり方はシンプルです。①会議を録音する(またはメモを取る)、②文字起こしツールでテキスト化する、③そのテキストをAIに渡して整形してもらう、④人の目で内容を確認して仕上げる、という流れです。
文字起こしは、TeamsやZoomなど会議システムの標準機能(トランスクリプト)を使うのが一番手軽です。対面会議なら、スマホの録音アプリと文字起こしアプリの組み合わせでも十分です。いずれの場合も、録音することは会議の冒頭で参加者に一言伝えておきましょう。
大事なのは、AIはあくまで「たたき台」を作る役割で、最終的な内容の正確性を担保するのは自分自身という前提を忘れないことです。この線引きさえ守れば、議事録作成はAIに任せられる部分がかなり大きい業務だと感じています。
時間の目安としては、1時間の会議の議事録に40分〜1時間かけていたのが、AIの下書き+人の確認で15分前後に収まる感覚です。特に効くのが「会議直後の5分で下書きまで終わらせる」運用で、記憶が新しいうちに確認まで済むので、後日まとめるより正確性も上がります。
実例①:走り書きメモを議事録に整形してもらう
まずは録音・文字起こしを使わない、一番手軽なパターンから。会議中に取ったこの程度の走り書きメモでも、AIはきちんと議事録の形にしてくれます。

私が実際に使っているプロンプトはこれです。メモを貼り付けるか、ファイルで添付して送ります。
以下は会議中に取ったメモです。これをもとに議事録の下書きを作ってください。 ・構成は「1.現状の課題」「2.検討した選択肢」「3.決定事項」「4.継続検討事項」「5.ToDo(担当者・期限)」「次回開催」の順 ・メモに書かれていない内容は推測で補わない。不確かな点は「(要確認)」と明記する ・文体は「〜する」「〜した」の常体で統一する
返ってくるのは、こんな形の下書きです。

ポイントは、プロンプトに入れた「メモに書かれていない内容は推測で補わない」の一文です。これを入れないと、AIはメモの行間を”それらしく”埋めてしまうことがあります。議事録は正確性が命なので、この一文は必ず入れるようにしています。
実例②:文字起こしデータから議事録を作る
録音の文字起こしテキストがある場合は、もう少し条件を細かく指定します。実際に使っているプロンプトの全文です。
添付は会議の録音を文字起こししたテキストです。以下の条件で議事録の下書きを作ってください。 1. 議題ごとに見出しを付けて構造化する 2. 発言者ごとに発言の要旨を整理する。誰の発言か判別できない箇所は「発言者不明」と明記する 3. 最後に「決定事項」「継続検討事項」「ToDo(担当者・期限が分かれば併記)」を分けてまとめる 4. 言い淀み・雑談・繰り返しは省いてよいが、文字起こしに無い内容は追加しない 5. 文体は常体で統一する
議事録で一番大事なのは「結局何が決まって、誰が何をするのか」です。条件3のように仕分けの項目立てを明示しておくと、会議中の雑談的なやり取りと意思決定の内容がごちゃ混ぜにならず、後で見返す人にとって分かりやすい議事録になります。
渡し方にもコツがあります。文字起こしを丸ごと貼り付けると要点がぼやけることがあるので、議題ごと・30分〜1時間ごとに区切って渡すと精度が安定します。明らかな雑談部分を先に削っておくのも効果的です。
また、返ってきた下書きは一発で確定させず、会話で追加指示を重ねて仕上げるのがおすすめです。「決定事項の2つ目、経緯をもう1行足してください」「ToDoは表形式にしてください」のように、気になった箇所だけピンポイントで直させると、自分で書き直すより速く仕上がります。
実例③:社内の議事録様式に合わせてもらう
AIが作る下書きは、そのままでは社内のフォーマットと一致しません。毎回手直しするより、最初からテンプレートごと渡してしまうのが確実です。
以下のテンプレートの形式で議事録を作成してください。項目名・順序はテンプレートどおりとし、埋められない項目は空欄のまま残してください。 【テンプレート】 会議名: 日時: 場所: 出席者: 議事内容: 決定事項: 懸案事項: 次回予定:
このテンプレート指定のプロンプトを実例②と組み合わせて一度に送れば、社内様式に沿った下書きが最初から出てきます。それでも「一発で完成品」を狙うより、8割の下書きを素早く作ってもらい、残り2割を人が仕上げるくらいの気持ちで使うのがちょうど良いと感じています。
定例会議は「セットごと」使い回す
毎月・毎週の定例会議なら、さらに効率化できます。私は会議体ごとに、「プロンプト+議事録テンプレート+用語集(部署名・出席者名の正しい表記)」を1つのテキストファイルにセットで保存しています。
会議が終わったら、そのテキストと今回の文字起こしを一緒に渡すだけ。2回目以降は「前回と同じ形式でお願いします」で通じるので、指示を考える時間はほぼゼロになります。Excel集計の記事でも書いた「手順書ごと覚えさせる」やり方と同じ発想で、定型業務ほど効果が大きくなります。
仕上げの小技として、議事録が完成したら続けて「この議事録の要点を3行にまとめて、参加者への共有メールの本文を作ってください」と頼むのもおすすめです。議事録の作成から共有までが、ひとつの流れで終わります。
実際に使っていてハマったポイント4つ
① 言っていないことを”それらしく”補完する
一番怖いのがこれです。文字起こしが不鮮明な箇所や、メモの行間を、AIがもっともらしい文章で埋めてしまうことがあります。「無い内容は追加しない」「不確かな点は(要確認)と書く」をプロンプトに必ず入れたうえで、決定事項と数字だけは原文(記憶)と突き合わせて確認するようにしています。
② 固有名詞・人名の誤変換
これはAIというより文字起こし段階の問題ですが、部署名・製品名・出席者名はよく誤変換されます。対策として、プロンプトに「正しい表記の一覧」(用語集)を添えておくと、AIが整形時にまとめて直してくれます。毎回同じ会議体なら、用語集を使い回せるのでほぼ手間ゼロです。
③ 長時間会議は中盤が薄くなる
2時間分の文字起こしを一度に渡すと、中盤の議論が要約でごっそり削られることがあります。前述のとおり、30分〜1時間単位で分割して渡し、最後に「ここまでの議事録を1つに統合してください」と頼む方が確実です。
④ 敬体・常体が混ざる
文体を指定しないと、「です・ます」と「である」が混在した下書きが返ってくることがあります。地味なようで手直しに時間を取られるポイントなので、プロンプトで文体は必ず指定しておきましょう。
機密情報の扱いだけは慎重に
会議の内容には、人事評価や取引条件、個人情報など、社外に出せない情報が含まれることが少なくありません。外部の生成AIサービスに文字起こしをそのまま渡す前に、必ず確認しておきたいのは次の3点です。
- 入力内容がAIの学習に利用されない設定・プランになっているか
- 社内の情報セキュリティ規程・AI利用ルールに沿っているか(迷ったら所管部署に確認)
- 機密性の高い会議は、固有名詞を伏せ字にしてから渡す、またはAI利用自体を見送る
この記事のサンプルも、実際の会議ではなく架空の内容で作っています。社内ルールがまだ無い場合の整備の進め方は、生成AIの社内利用ルール・ガイドラインの作り方にまとめています。
よくある質問
Q. 文字起こしには何を使えばいいですか?
オンライン会議ならTeamsやZoomの標準トランスクリプト機能が一番手軽です。対面会議はスマホの録音+文字起こしアプリで対応できます。精度が心配な場合も、多少誤変換があるくらいならAIの整形段階でかなり吸収してくれます。
Q. 議事録係はもう不要になりますか?
「清書する係」は不要になりますが、決定事項をその場で確認する役割は残ります。むしろメモ取りから解放されて議論に集中できるようになるのが、この方法の一番の効果だと思っています。
Q. 手書きメモしかない場合はどうすればいいですか?
手書きメモをスマホで撮影して、その画像をAIに渡す方法が使えます。多少の走り書きでも読み取ったうえで、実例①と同じプロンプトで議事録に整形してくれます。字が崩れて読み取れない箇所は、「読み取れない箇所は(判読不能)と書いてください」と指示しておくと、勝手に創作されるのを防げます。
Q. ChatGPTとClaude、どちらが良いですか?
この記事のプロンプトはどちらでもそのまま使えます。基本的な仕上がりに大きな差はないので、普段使っている方・会社で認められている方で問題ありません。長い文字起こしを一度に渡す場合は、読み込める文章量の上限が大きいサービスの方が分割の手間が減ります。
まとめ
- 録音→文字起こし→AIで下書き→人が確認、が基本の流れ
- 走り書きメモでも、構成と「推測で補わない」を指定すれば議事録になる
- 発言者の整理・決定事項とToDoの仕分けはプロンプトで明示的に指示する
- 社内様式はテンプレートごと渡して合わせてもらう
- 幻覚(創作)対策と機密情報の扱いだけは人の手を離さない
議事録作成にAIを取り入れて感じたのは、「時間が減る」以上に「会議への向き合い方が変わる」ことでした。メモを取るために会議に出ていたような状態から、議論に参加するための会議に戻れた感覚があります。まずは次の定例会議のメモ1枚から、試してみてください。
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