電子帳簿保存法対応、総務・経理が準備すべきこと|経理・財務の実践ノウハウ

経理・財務

「請求書はメールでPDFをもらっているのに、結局プリントアウトしてファイルに綴じている」——先日、経理担当の同僚とそんな話になりました。取引先とのやり取りが電子化されているのに、社内の保存方法は紙のまま、という状態は、実務ではよくあることだと思います。

「うちの会社の保存方法は本当に大丈夫なのか」「何から手をつければいいのか」——電子帳簿保存法という言葉は耳にしていても、実際にどこまで対応できているか自信を持てない総務・経理担当者は少なくないはずです。改正が重ねられている分野でもあり、情報が断片的に入ってきて、かえって不安になることもあります。

私自身、紙とデータが混在した保存状態を整理し、社内の運用ルールを見直す作業に携わった経験があります。その経験も踏まえながら、総務・経理として押さえておきたい実務ポイントを整理してみます。

電子帳簿保存法の基本をおさらいする

電子帳簿保存法にはいくつかの区分がありますが、実務上とくに影響が大きいのが「電子取引データの保存」です。メールで受け取った請求書のPDFや、取引先のシステムからダウンロードした納品書、クラウドサービス上でやり取りした見積書など、もともと電子データとして授受した取引情報は、紙に印刷して保存するのではなく、電子データのまま保存する必要がある、というのが基本的な考え方です。具体的な保存要件やルールの細部は改正が続いている分野のため、本記事では数値や条件を断定せず、必ず国税庁など公的機関の最新情報を確認することをおすすめします。

総務・経理が準備すべきこと

① 電子取引データの保存ルールを整理する

まず取り組みたいのは、自社にどんな電子取引データがあるかの棚卸しです。部署によって扱うデータの種類も保存場所もばらばらになっていることが多く、思わぬところに「印刷して終わり」になっている取引が見つかることもあります。

  • メール添付で受け取る請求書・領収書・見積書
  • 取引先システムやクラウドサービスからダウンロードするデータ
  • 法人カードやWeb明細など、画面上でのみ確認している取引情報

これらを洗い出したうえで、「どこに」「どのように」保存するかを社内ルールとして決めておくことが出発点になります。

② 検索要件を満たすファイル名・フォルダ運用を決める

電子データとして保存するだけでなく、後から必要な取引をきちんと探し出せる状態にしておくことも欠かせません。私が見直しに携わった際は、まずファイル名の付け方を統一するところから始めました。

  • 日付・取引先名・金額などをファイル名に含める(例:年月日_取引先名_金額)
  • 年度や月、取引先ごとにフォルダを整理し、探しやすい階層にする
  • 表計算ソフトなどで索引簿を作り、ファイルと突き合わせられるようにする

検索の仕組みは専用システムでなくても、日々のファイル名やフォルダ構成を工夫するだけで一定の運用は可能です。ただし細かな要件については、やはり最新の公的情報での確認をおすすめします。

③ 社内への周知を徹底する

保存ルールを決めても、実際に取引データを扱うのは総務・経理だけではありません。各部署の担当者が請求書を受け取ったり、法人カードで購入したりする場面は日常的にあります。ルールを作った時点で満足せず、「なぜ印刷して保存してはいけないのか」「どこに保存すればよいのか」を、簡単なマニュアルや説明会などで丁寧に伝えることが大切だと感じています。

特に、チャットツールでやり取りしたファイルなど、見落としやすい取引データについては、具体例を挙げて説明すると理解が進みやすくなります。

④ 紙とデータが混在する過渡期の運用を決めておく

実務上、すべてを一気に電子化できるわけではありません。もともと紙で受け取った請求書と、電子データで受け取った請求書が混在する状態は、しばらく続くのが現実だと思います。この過渡期に大切なのは、「紙で受け取ったものは紙のまま」「電子で受け取ったものは電子のまま」という原則を崩さないことです。電子データを紙に印刷して満足してしまうと、かえって保存ルールがあいまいになってしまうため、担当者が迷わないよう、判断基準をシンプルに示しておくとよいでしょう。

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まとめ

  • 電子取引データは、紙に印刷せず電子データのまま保存するのが基本的な考え方
  • まずは自社の電子取引データを棚卸しし、保存場所とルールを整理する
  • ファイル名やフォルダ構成を工夫し、後から探し出せる状態にしておく
  • ルールは作って終わりではなく、社内への周知と説明を丁寧に行う
  • 紙とデータが混在する過渡期こそ、原則をシンプルに保つことが重要

電子帳簿保存法への対応は、一度ルールを整えれば終わりというものではなく、社内の運用に定着させていく地道な作業だと感じています。完璧を目指すよりも、まずは自社の現状を把握し、できるところから一歩ずつ整理していく姿勢が、結局は近道になるのではないでしょうか。

※本記事は一般的な情報の紹介を目的としており、個別の税務判断については税理士等の専門家や国税庁の最新情報をご確認ください。

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