「その電話対応、テキストに書いてあった内容そのままですね」先日、新しく受付を担当することになったスタッフに、来客の取り次ぎ方や電話の保留の仕方を教えていたときに、こう言われたことがあります。聞けば、学生時代に秘書検定の勉強をしていて、その時に習った内容と重なる部分が多かったのだそうです。
恥ずかしながら、総務担当として何年か経つ私自身は、来客対応や電話応対のマナーを体系的に学んだことがありませんでした。先輩から見よう見まねで教わり、なんとなく「うちのやり方」として身につけてきただけで、それがビジネスマナー全体の中でどう位置づけられるものなのか、あらためて考えたことがなかったのです。指摘されて初めて、自分の対応に根拠がなかったことに気づかされました。
そのスタッフとのやり取りをきっかけに、秘書検定というものを少し調べてみたところ、実際には秘書職に就いている人だけでなく、総務・受付・営業事務など、幅広い職種の人が受検している資格だということが分かりました。法律や会計のように専門知識を問う資格とは違い、日々の立ち居振る舞いそのものを見直すための資格という点が新鮮に感じられ、今回は、総務・受付担当という立場から見た、秘書検定を学ぶメリットと勉強の進め方について、私なりに整理してみたいと思います。
秘書検定は「秘書」だけの資格ではない
秘書検定は、名前だけを見ると秘書職向けの専門資格という印象を持たれがちですが、実際に問われる内容は、ビジネスマナー全般に近いものです。来客対応や電話応対、スケジュール管理、文書作成のルール、上司や取引先との接し方など、事務系の仕事をしていれば誰もが日常的に関わる場面が題材になっています。総務担当がよく目にする衛生管理者試験や簿記のように、法令や数字を扱う知識型の資格とは毛色が異なり、いわば「立ち居振る舞い」を体系立てて学ぶ資格という位置づけです。
そのため、就職活動を控えた学生だけでなく、社会人になってから受検する人も少なくないようです。特に総務部門で来客対応や電話の一次窓口を任されている担当者にとっては、日々の業務そのものが試験範囲と重なっていると言ってもよいくらいです。なお、級ごとの構成や出題範囲、合格率といった詳細は年によって案内が変わることもあるため、正確な情報は主催団体の公式サイトで最新のものを確認していただくのがよいと思います。
総務・受付担当が秘書検定を学ぶメリット
①来客対応・電話対応の「型」を学び直せる
総務や受付の仕事は、マニュアルが整備されていても、実際の対応は先輩からの口頭伝承に頼っている部分が意外と多いものです。お辞儀の角度や名刺の受け渡し方、電話の取り次ぎ方といった基本動作を、なんとなくの自己流でこなしてしまっている人も少なくないでしょう。秘書検定の学習を通じて、こうした所作を一つひとつ体系立てて確認できるのは、経験年数を問わず得られる大きな収穫だと感じます。自分の対応のどこが我流だったのかが分かるだけでも、学ぶ価値があると思います。
②敬語や文書作成のルールに自信が持てる
社外からの電話や来客対応では、敬語の使い方一つで会社全体の印象が左右されることがあります。「この言い回しで合っているのだろうか」と迷いながら対応するのと、根拠を持って言葉を選べるのとでは、心の余裕がまったく違います。秘書検定の学習範囲には、敬語の基本や社外文書の書き方も含まれているため、日頃なんとなく使っていた表現を見直すよい機会になります。取引先へのお礼状や案内文を書く際にも、迷いが減ったと感じる場面が増えました。
③社内マナー研修の土台になる
総務部門では、新入社員研修や中途採用者向けのオリエンテーションで、簡単なビジネスマナー研修を任されることがあります。秘書検定で体系的に整理された知識があると、研修資料を作る際の骨組みとして活用しやすくなりますし、質問を受けたときにも自信を持って答えられるようになります。外部講師に頼らず、社内で研修を内製化したいと考えている会社にとっても、心強い土台になるはずです。
勉強法は「実務と結びつける」のがコツ
秘書検定の勉強というと、テキストを最初から最後まで暗記しようとしてしまいがちですが、それでは内容が頭に残りにくいというのが正直な感想です。むしろ、その日に対応した来客や電話の場面を思い出しながら「テキストではこう書かれていたな」と結びつけて読み進めると、記憶に定着しやすくなります。通勤時間などのすきま時間にテキストを読み、翌日の実務でさっそく意識してみる、というサイクルを回すのがおすすめです。同じ受付を担当する同僚と問題を出し合うのも、記憶を定着させるうえで効果的だと感じました。
今回の内容を簡単にまとめると、次のようになります。
- 秘書検定は秘書職に限らず、総務・受付・営業事務など幅広い職種の人が受検している資格である
- 法律や会計のような知識型の資格とは違い、立ち居振る舞いやマナーを体系的に学ぶ資格である
- 来客対応や電話応対など、日々なんとなく行っている業務の「型」を体系的に学び直せる
- 敬語や文書作成のルールを整理することで、社内外とのやり取りに自信が持てるようになる
- 学んだ知識は、社内のマナー研修を行う際の土台としても役立つ
- 勉強はテキストの丸暗記に頼らず、日々の受付・電話対応の場面と結びつけながら進めると定着しやすい
- 級構成や出題範囲、合格率などの詳細は変わることがあるため、主催団体の公式サイトで最新情報を確認するとよい
資格そのものが直接評価に結びつくかどうかは会社によって異なると思いますが、日々の対応に「これでよかったのか」という漠然とした不安を抱えている総務・受付担当の方にとっては、学び直しのきっかけとして十分に価値のある一冊だと感じています。
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