社用車管理規程の整備、総務が押さえておきたいポイント

総務の仕事術

「うちの社用車、点検簿ってちゃんと運用されてますか?」先日、他部署の後輩から相談を受けました。聞けば、営業車の任意保険を更新しようとしたところ、契約内容と実際に運転している人数・車両にズレがあることに気づいたとのことでした。慌てて社内を確認してみると、運転者台帳は数年前の情報のまま更新されておらず、点検記録もほとんど残っていない状態だったそうです。

私自身も総務担当として社用車管理に関わるようになってから、似たような場面に何度も遭遇してきました。社用車は日常的に使っていると「動いているから大丈夫」と思いがちですが、実際には運転者の入れ替わりや免許証の更新、保険の見直しなど、意外と細かい管理項目が積み重なっています。事故やトラブルが起きてから慌てて規程を整備しようとしても、そのときにはもう遅い、ということも少なくありません。

今回は、社用車を保有する会社で総務が車両管理の責任部署になったときに、社用車管理規程としてどのような項目を押さえておくとよいか、実務の視点から整理してみたいと思います。

社用車管理規程に盛り込みたい基本項目

運転者台帳の整備と免許証の定期確認

社用車を運転する可能性のある社員については、氏名、免許証番号、免許の種類、有効期限、運転可能な車両区分などをまとめた「運転者台帳」を作成しておくことをおすすめします。台帳を作ること自体は難しくありませんが、大切なのは「作った後」です。異動や退職で運転者が入れ替わったときに台帳を更新する運用ルールを決めておかないと、台帳はあっという間に形骸化してしまいます。

また、免許証の有効期限や、うっかり失効・取消しがないかを定期的に確認する仕組みも欠かせません。年に1回など頻度を決めて、免許証のコピーを提出してもらう、あるいは原本を確認する機会を設けている会社も多いようです。運転免許証の情報は個人情報でもあるため、保管方法やアクセス権限についても、あわせて規程に定めておくと安心です。

任意保険の加入内容・補償範囲の見直し

社用車の任意保険は、一度加入したらそのまま、という会社も少なくありません。しかし、車両の台数や用途が変わっていたり、運転者の年齢層が広がっていたりすると、当初の契約内容と実態が合わなくなっていることがあります。対人・対物の補償限度額、車両保険の要否、運転者の年齢条件や運転範囲(業務使用か通勤使用か)など、契約更新のタイミングで一度立ち止まって見直すとよいと思います。

あわせて、保険会社や代理店の緊急連絡先を運転者全員がすぐに確認できるようにしておくことも大切です。事故は突発的に起きるものなので、「保険証券はどこにあるのか」「誰に連絡すればよいのか」があいまいなままだと、いざというときに現場が混乱してしまいます。

日常点検のルール化と記録の徹底

始業前点検などの日常点検は、規程に定めるだけでなく、実際に記録が残る仕組みにしておくことがポイントです。点検項目はタイヤの空気圧やブレーキの効き、灯火類の点灯確認など基本的なもので構いませんが、口頭確認だけで済ませてしまうと、後から「本当にやっていたのか」を確認する手立てがなくなってしまいます。点検簿やチェックシートを用意し、運転者本人が記入・押印する形にしておくと、記録としての意味を持たせやすくなります。

事故が起きたときに慌てないための備え

事故発生時の報告フローを明文化する

社用車で事故が発生した場合、社内へのどのタイミングで連絡するか、保険会社への連絡は誰が行うか、警察への届出は当然のこととして、取引先や関係者への連絡が必要な場合の対応まで、あらかじめ流れを整理しておくと安心です。事故を起こした本人は動揺していることが多いため、「まず誰に電話するか」を1枚のフローチャートやカードにして、社用車の中に常備している会社もあります。とっさの判断に頼らず、決まった手順に沿って動けるようにしておくことが、被害の拡大防止にもつながります。

安全運転管理者の選任制度にも目を配る

一定の台数以上の自動車を使用する事業所では、道路交通法に基づき「安全運転管理者」を選任し、公安委員会への届出を行う必要があります。安全運転管理者には、運転者の適性把握や運転計画の作成、点呼による酒気帯びの確認など、一定の業務が義務付けられています。何台以上でこの制度の対象になるか、どのような業務が求められるかといった具体的な基準は改正されることもあるため、詳細は道路交通法の最新の基準を確認していただくのがよいと思います。自社の車両保有台数が制度の対象に近づいてきた場合は、早めに情報を確認し、選任の要否を判断しておくことをおすすめします。

社用車管理規程を整備するといっても、一度にすべてを完璧に作り込む必要はありません。まずは自社の運用状況を棚卸しし、抜け漏れているところから手を付けていくのが現実的だと感じています。

  • 運転者台帳を整備し、免許証の有効性を定期的に確認する体制を作る
  • 任意保険の加入内容・補償範囲を契約更新のタイミングで見直す
  • 始業前点検などの日常点検を義務付け、記録が残る仕組みにする
  • 事故発生時の社内報告・保険会社連絡・警察届出などの流れを明文化しておく
  • 一定台数以上の事業所は安全運転管理者の選任が必要になる場合があるため、最新の法令基準を確認する

社用車は便利な反面、管理が行き届かないと思わぬトラブルの種にもなります。規程や台帳の整備は地味な作業に見えますが、いざというときに社員を守り、会社を守るための土台になるものだと感じています。少しずつでも、自社の運用を見直すきっかけにしていただければうれしいです。

※本記事は一般的な情報の紹介を目的としており、個別の運用ルール整備については専門家にもご確認ください。

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