非エンジニアの総務がClaude Codeを事務作業に使ってみた|任せたことと、やめたこと

手作業での転記の流れと、Claude Codeに任せた場合の流れを比較したイメージ図 AI・業務効率化

私はプログラムを書けません。学生時代に情報系の勉強をしたわけでもなく、業務で触るのはExcelとWordとPDFです。それでも毎月、決まった形のファイルから数字を拾って別のファイルに転記する、という作業に何時間も使っていました。関数もマクロも「毎回少しずつ形が違う」ところで詰まって、結局は手作業に戻る。その繰り返しでした。

そこにClaude Codeを使うようになって、この部分がかなり変わりました。名前に「Code」と付いているのでエンジニア向けの道具に見えますし、実際そういう紹介のされ方が多いのですが、事務職の立場から見ると「日本語で手順を伝えると、パソコンの中のファイルをそのとおりに処理してくれる道具」です。この記事では、実際に自動化できたことと、途中でやめたこと、非エンジニアがつまずいたところを書きます。

チャット版のAIと、何がいちばん違うのか

ChatGPTやClaudeのチャット画面も日常的に使っています。文章を書かせたり、考えを整理したりする用途では十分です。ただ、ファイルを扱う仕事になると急に面倒になります。

  • Excelの中身をコピーして貼り付ける
  • 返ってきた結果をまたコピーしてExcelに戻す
  • 行数が多いと途中で切れるので、分けて貼り直す

Claude Codeの違いは、この往復がないことです。フォルダの中のファイルを直接読み、直接書き出します。「このフォルダの先月分のファイルを開いて、A店からE店までの売上を拾って、集計表の該当月の列に入れて」と伝えれば、そのままファイルが更新されます。コピペの手間がなくなるだけと思われるかもしれませんが、実際には扱える量と正確さが変わります。貼り直しの過程で起きていたミスが、そもそも起きなくなるからです。

手作業での転記の流れと、Claude Codeに任せた場合の流れを比較したイメージ図
毎月の転記作業の流れの比較(イメージ図です)

実際に任せている作業

具体的に何をやらせているのか、業務が特定されない範囲で書きます。共通しているのは「毎月やっている」「手順を言葉で説明できる」「結果を検算できる」の3つです。

① 決まった形のExcelから、決まった場所への転記

いちばん効果が大きかったのがこれです。元ファイルの形式が毎月同じで、転記先も決まっている。ただし件数が多く、目視だと必ずどこかで1行ずれる。この手の作業は、指示さえ正確に書ければほぼそのまま通ります。

② PDFの請求書から金額を拾って一覧にする

複数のPDFをフォルダにまとめて置き、「この中の請求書から、請求月・件名・金額を読み取って一覧表にして」と頼む使い方です。以前は1枚ずつ開いて手入力していました。ここは読み取りミスが起こりうるので、合計金額を別途足し合わせて必ず突き合わせています。

③ 複数ファイルを集約して、合わないところを探す

拠点ごとに分かれたファイルを1つにまとめる作業です。人間がやると集約自体に時間を取られて、肝心の「どこが合っていないか」を見る時間がなくなります。集約を任せて、差異の一覧だけ出させると、自分は確認に集中できます。

④ 資料の下ごしらえ

出来上がった数字から報告資料の形に整えるところまでは任せています。ただし文言はほぼ書き直します。AIが書く説明文はどうしても一般論に寄るので、社内で通じる言い方に置き換える作業は結局こちらの仕事です。

最初の1回は、こう頼んでいます

初回の指示は、慣れないうちほど細かく書いたほうが結果的に早く済みます。私が最初に渡しているのは、だいたいこういう内容です。

このフォルダにある拠点別のExcelから、集計表に数字を転記してほしいです。

・元ファイル:拠点別の実績ファイル(1拠点1ファイル)
・転記先:集計表.xlsx の当月シート
・転記する項目:売上・原価・人件費の3つ

作業を始める前に、
(1)何をするつもりか
(2)どのファイルを更新するか
を先に説明してください。私が確認してから進めてください。

作業後は、拠点別の合計と全社合計が一致するかを確認して、
結果を数字で報告してください。

「始める前に説明させる」の一文が、非エンジニアには効きます。実行される前に、認識のズレに気づけるからです。指示の解釈が違っていれば、この時点で言い直せば済みます。

いちばん効いたのは「2回目以降」だった

正直に言うと、初回はそれほど速くありません。手順を言葉にして、思ったとおりに動くまで何度か指示を直すので、自分で作業したほうが早い、と感じることもあります。

変わるのは翌月です。一度うまくいった手順は、そのまま手順書としてファイルに残しておけます。翌月は元ファイルを置いて「先月と同じ手順で、今月分をやって」と伝えるだけです。これが、マクロを組むのとも、毎回チャットに説明し直すのとも違うところでした。

手順を残すときに書いているのは、だいたいこういう内容です。

【毎月の集計手順】

1. 対象フォルダ:(フォルダ名)配下の当月フォルダ
2. 元ファイル:拠点別の実績ファイル(ファイル名は「実績_年月.xlsx」)
3. 転記先:集計表の当月シート
4. 転記するもの:各拠点の売上・原価・人件費の3項目
5. 注意:
   ・単位は千円。元ファイルが円単位のときは千円に直すこと
   ・拠点が増減している場合は、勝手に行を削らず、増えた分は末尾に追加して報告する
   ・転記後、拠点別合計と全社合計が一致するかを必ず確認して、結果を報告する

注意書きの部分が肝です。「勝手にやらないでほしいこと」を先に書いておくと、想定外のことが起きたときに黙って処理されず、報告が上がってきます。事務の仕事では、間違えることよりも「間違えたまま進むこと」のほうが困るので、ここは毎回書いています。

やってみて、やめたこと

① 判断が入る仕事は任せない

どの数字を採用するか、例外をどう扱うか、といった判断が必要な作業は任せていません。もっともらしい理由を付けて処理してくれますが、その理由が社内の運用と合っているとは限りません。判断は自分、作業は任せるという線引きに落ち着きました。

② 一度きりの作業は自分でやる

来月もやるかどうか分からない作業は、指示を書く時間のほうが長くなります。手順を残して繰り返すからこそ効くので、単発の作業は素直に手を動かしたほうが速いです。

③ 原本を直接触らせるのをやめた

最初は元のファイルをそのまま渡していましたが、途中で作業用のコピーを作ってから渡す形に変えました。処理が想定と違ったときに、元に戻せる状態を必ず残しておくためです。共有フォルダの原本を直接更新させるのは、今もやっていません。

④ 検算しないまま次に進むのをやめた

これがいちばん危ないところです。出てきた表は見た目がきれいなので、合っているように見えてしまいます。実際には、条件の解釈が1つずれているだけで全部の数字が変わります。合計・件数・前月比のどれかを必ず別の方法で確認するのを、手順そのものに組み込みました。

Claude Codeに任せている作業と、任せていない作業を分けて整理した表のイメージ図
任せている作業と、任せていない作業の切り分け

非エンジニアがつまずくところ

黒い画面への抵抗

最初の関門は、正直これでした。ターミナル(コマンドを打つ画面)を使うので、見た目のハードルがあります。ただ、実際に打つのはほとんど日本語です。難しいコマンドを覚える必要はありませんでした。慣れるまでの数日を越えられるかどうか、というだけの話だと思います。

会社のPCで使ってよいのか

総務としては、ここを飛ばすわけにはいきません。業務データを扱う以上、会社が認めた形で使うことが前提です。社内に生成AIの利用ルールがあるか、なければ誰に確認すべきか。この整理は「生成AIの社内利用ルール・ガイドラインの作り方」に書きました。個人アカウントで会社のファイルを処理する、という状態は避けるべきです。

ファイルを壊さないか不安

この不安は正しいと思います。だからこそ、作業用のコピーで試す、実行前に何をするつもりか説明させる、といった手順を挟んでいます。慣れてくると省略したくなりますが、月次の数字を扱う作業では省略しないほうがよいというのが今のところの結論です。

思ったとおりに動かないとき

最初のうちは、なかなか意図どおりに動きません。そのとき私がやっているのは、次の3つです。

  • 作業を小さく割る。「全部やって」ではなく「まず1拠点分だけやって、結果を見せて」に変える。1つ通れば、残りは同じことの繰り返しです
  • 前提を言葉にする。自分にとって当たり前すぎて書かなかったこと(単位、対象月、除外する行)が、たいてい抜けています
  • やり直しではなく差分で直す。ゼロから指示し直すより、「さっきの手順のうち、単位の扱いだけ変えてほしい」と伝えたほうが早く収束します

それでも噛み合わないときは、こう聞きます。

私の指示で、解釈が分かれそうなところを挙げてください。
あなたがどう理解したかを、箇条書きで説明してください。

たいてい、自分の書き方が曖昧だったことがここで分かります。相手の理解を先に確認するという意味では、人に仕事を頼むときとまったく同じでした。

最初の1つを選ぶなら

これから試す人に勧めるとしたら、次の3つを満たす作業を1つだけ選ぶことです。

  • 毎月やっている。2回目以降に効くので、繰り返しがない作業では良さが出ません
  • 手順を言葉で説明できる。自分でも説明できない作業は、AIにも伝わりません
  • 結果を検算できる。合計や件数で答え合わせができるものから始めると、安心して任せられます

逆に、判断が多い仕事・前例のない仕事から試すと、たいてい「思ったほどではない」で終わります。私も最初の1つの選び方を間違えて、しばらく放置していました。

よくある質問

Q. プログラミングの知識は必要ですか?

書けなくても使えます。私自身が書けません。ただし手順を分解して言葉にする力は要ります。これは事務職が普段からやっていることなので、むしろ得意な人が多いのではないかと思います。

Q. チャット版のAIで十分では?

文章を書く・考えを整理するならチャット版で十分です。分かれ目はファイルを扱うかどうか同じ作業を繰り返すかどうか。この2つに当てはまるなら、コピペの往復から解放される価値は大きいです。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

プランや使い方によって変わるので金額は書きませんが、判断の目安は「浮いた時間 × 自分の時間単価」と比べることだと思います。月に数時間の手作業が消えるなら、検討する価値はあります。導入前に必ず公式の最新の料金を確認してください。

Q. どのくらい時間が浮きましたか?

作業によりますが、体感でいちばん大きいのは時間そのものより「気が重い作業が減ったこと」でした。転記のような単純作業は、時間だけでなく集中力を奪います。そこを渡せると、確認や検討に頭を使えるようになります。

どの作業から手を付けるべきか、23項目で判定できます

毎月やっている作業を選ぶだけで、仕組みにできるもの手作業のまま残るものを判定するツールを置いています。判定の4つの軸もそのまま表示するので、納得できなければ読み替えてもらって構いません。入力した内容はブラウザの中だけで処理され、どこにも送信されません。

月次業務の自動化余地診断(無料・登録不要)

まとめ

  • Claude Codeは、事務職から見ると「日本語で手順を伝えるとファイルを処理してくれる道具」。プログラムは書けなくても使える
  • チャット版との違いは、ファイルを直接読み書きすること。コピペの往復と、そこで起きるミスがなくなる
  • 効くのは「毎月やっている」「手順を説明できる」「検算できる」作業
  • 本当の効果は2回目以降。手順を残しておけば、翌月は指示1行で済む
  • 手順書には「勝手にやらないでほしいこと」を先に書く。黙って処理されるのを防げる
  • 判断が入る仕事、一度きりの作業は任せない
  • 原本ではなく作業用コピーを渡す。合計や件数の検算を手順に組み込む
  • 会社のデータを扱うなら、社内ルールと利用形態の確認が先

使い始める前は「エンジニア向けの道具だろう」と思って、しばらく手を出していませんでした。実際に触ってみると、いちばん必要だったのは技術の知識ではなく、自分の仕事の手順を言葉にして書き出す作業でした。それは結局、引き継ぎ書を作るのと同じことです。手順を書き出したこと自体が、思っていたより大きな収穫でした。

※本記事は一般的な情報の紹介を目的としています。各サービスの仕様・料金・データの取り扱いは変更される場合がありますので、利用前に必ず公式の最新情報をご確認ください。また、業務データを扱う際は、自社の情報システム部門や社内ルールに従ってください。

お知らせ:プロンプト集をnoteで公開しました

この記事で紹介したような頼み方の型を含め、総務・経理の実務でそのまま使える穴埋め式プロンプト30本(集計チェック・文書作成・議事録・メール・報告資料・人事労務)を1冊のnoteにまとめました(有料500円・返金申請受付あり)。冒頭+2本は無料で読めます。

【コピペで使える】総務・経理のためのAIプロンプト集30(穴埋め式)|note

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました