ClaudeでExcel集計を自動化する方法|総務・経理の時短術

AI・業務効率化

毎月訪れる「集計地獄」、皆さんの職場にもありませんか。

複数店舗・複数部署から届くバラバラのExcelを1つにまとめ、関数を組み直し、数字が合わないところを探して……。総務や経理の仕事をしていると、こうした集計作業に半日、下手をすると1日つぶれてしまうことも珍しくありません。

私自身、毎月の店舗別売上の集計に半日かかっていた時期がありました。各所から届いたファイルを開いて形式を確認し、コピペで1枚にまとめ、SUMIFやピボットを組み直し、前月比を出して、数字が合わない箇所を探す——この繰り返しです。それが今では、AIツール「Claude」に集計の大部分を任せるようになり、体感で30分ほどに短縮できています。残った30分も、ほとんどは最終確認の時間です。

この記事では、私が実際に使っているプロンプト(AIへの指示文)の全文と、サンプルデータでの再現画面を交えながら、Excel集計をどこまで・どうやって自動化できるのかを具体的に紹介します。

※2026年8月更新:実際に使っているプロンプト全文とサンプル画面、失敗談を追加して大幅に加筆しました。記事内の店舗名・数値はすべて架空のサンプルです。

Claudeとは(集計にどう使えるのか)

Claudeは、Anthropic社が開発している対話型のAIです。文章を書いたり質問に答えたりするだけでなく、Excelファイルを添付すると中身を読み取って集計・分析したり、作業を自動化するプログラム(VBAやスクリプト)を作ったりできます。

「AIにExcel作業を頼む」と聞くと難しそうですが、実際にやることは、ファイルを添付して、やってほしいことを日本語で書くだけです。無料でも試せるので、まずは手元の(機密情報を含まない)ファイルで感触をつかむのがおすすめです。

実例①:ファイルを渡して日本語で頼む

一番基本の使い方から紹介します。たとえば、こんな形の売上明細があるとします。店舗ごと・部門ごとの行が混ざった、どこの職場にもありそうな「縦に長い明細」です。

店舗別売上明細のサンプルデータ。日付・店舗名・部門・売上金額の4列
元データの例(架空の数値によるサンプルです)

これを店舗×部門のクロス集計表にしたいとき、私が実際に送っているプロンプトはこれです。

添付のExcelは店舗別の売上明細です。列は「日付」「店舗名」「部門」「売上金額(円)」です。

店舗ごと・部門ごとの売上合計を、行=店舗名、列=部門のクロス集計表にまとめてください。
・金額は円のまま、3桁区切りで表示
・行と列それぞれに合計を付ける
・元データに含まれない店舗・部門は作らない

返ってくるのは、こういう表です。

店舗別・部門別のクロス集計表。行が店舗、列が部門で、それぞれに合計付き
Claudeが返す集計結果のイメージ(同じサンプルデータで再現したものです)

ピボットテーブルを組める方なら「それくらい自分でやれる」と思うかもしれません。ただ、実務のファイルは列名がバラバラだったり、余計な行が挟まっていたりして、ピボットの前の「整形」に時間を取られがちです。Claudeはその整形ごと引き受けてくれるのが強みです。

さらに便利なのは、返ってきた表に対して会話で続きを頼めることです。「この表に前月比の列を足してください」「物販だけ日別の推移にしてください」のように、上司から追加で頼まれがちな加工も、そのまま続けて指示できます。Excelで作り直すと億劫な「切り口の変更」が、一言で済むのは想像以上に楽です。

伝え方のコツ3つ

何度も使ってきて、結果が安定するコツは次の3つだと感じています。

  • 列名をそのまま伝える:「売上の列」ではなく「売上金額(円)の列」と、実際の見出しを書く。取り違えがほぼなくなります
  • 出力形式を指定する:「表で」「3桁区切りで」「合計行を付けて」など、欲しい形を先に言う。後から直させるより速いです
  • 曖昧な言葉を避ける:「いい感じにまとめて」はNG。自分が頭の中でやっている手順を、そのまま言葉にするのがいちばん伝わります

実例②:毎月の定型集計は「手順書ごと」覚えさせる

月次で必ず発生する集計は、毎回ゼロから指示するのではなく、手順書の形でまとめて渡すのがおすすめです。私は毎月の売上集計を、こんなプロンプトで頼んでいます。

毎月、次の手順で集計しています。今月分も同じ手順でお願いします。

1. 添付①の売上明細を、店舗別・部門別に集計する
2. 添付②の前月の集計表と並べて、店舗ごとの増減額と増減率を出す
3. 増減率が±10%を超えた店舗をリストアップする

出力は1つの表にまとめ、金額は3桁区切りにしてください。

一度この形を作っておけば、翌月からは新しいファイルを添付して「先月と同じやり方で今月分もお願いします」と一言添えるだけです。同じ会話(またはプロジェクト機能)の中で続ければ、前回の手順を踏まえて処理してくれます。

ひとつ運用のコツを挙げると、この手順書プロンプトはメモ帳などにテキストとして保存しておくことをおすすめします。会話が流れてしまっても貼り直せばすぐ再現できますし、手順が変わったときはテキストを直すだけで済みます。ちょっとした「業務マニュアル」が1つできあがる感覚で、引き継ぎ資料としても意外と役立ちます。

毎月「あの関数どう組んだっけ」と思い出しながら作業していた時間が、ほぼゼロになる感覚です。同じ形式のファイルが毎月届く業務ほど、効果は大きくなります。

実例③:集計そのものより「チェック」に効く

意外かもしれませんが、私が一番助けられているのは集計よりもチェック作業です。実際に使っているプロンプトはこんな形です。

添付の明細をチェックしてください。観点は次の3つです。

1. 金額の桁が、他の行と比べて明らかに大きい・小さい行
2. 店舗名・部門名の表記ゆれ(全角・半角の混在、余分なスペース、旧名称など)
3. 日付が今月の範囲外になっている行

該当する行の行番号と、気になる理由を一覧にしてください。

以前、複数の担当者から集めたファイルで、同じ店舗名が全角カナと半角カナで混在していて、集計が2行に割れてしまったことがありました。人間が目視で見つけるのはかなりつらい種類のミスですが、AIはこの手の「表記ゆれ探し」を淡々と全件やってくれます。

集計を任せるのはまだ不安、という方も、まずはこのチェック用途から試してみると導入しやすいと思います。

応用編:VBAを書いてもらい、実行は自分のExcelでやる

「ファイルをAIに渡すのは社内ルール的に難しい」という職場も多いと思います。その場合におすすめなのが、データは渡さず、処理のプログラム(VBAマクロ)だけ書いてもらう方法です。私が複数ファイルの結合用マクロを頼んだときのプロンプトはこんな形でした。

ExcelのVBAマクロを書いてください。

・同じフォルダ内にある複数のExcelファイル(形式はすべて同じ)を順に開き、各ファイルのSheet1のA2以降のデータを、1つのシートに縦に結合する
・1行目の見出しは最初のファイルのものだけ残す
・結合後、B列(店舗名)で昇順に並べ替える
・処理が終わったら、結合した行数をメッセージで表示する

VBAは初心者なので、貼り付け方と実行方法も簡単に教えてください。

この方法なら、社内のデータは一切外に出ません。動かして期待どおりでなければ、エラーメッセージをそのまま貼り付けて「こう出ました」と伝えると直してくれます。最初は必ずコピーしたテスト用ファイルで動かすことだけ守れば、VBAの知識ゼロでもマクロが「使える道具」になります。

実際に使っていてハマったポイント4つ

便利さばかり書いてきましたが、実際にはつまずいた場面もあります。先に知っておくと回り道せずに済むはずです。

① 結合セルのある表は苦手

見出しが2段組みになっていたり、セル結合が多用されていたりする「見た目重視の表」は、列の対応を取り違えることがあります。渡す前に結合を解除するか、「見出しは2行目です」と一言添えるだけでも精度が変わります。

② 丸め方を指定しないと合計が合わない

千円単位に丸めた表と円単位の元データを突き合わせると、当然ながら端数がズレます。「円単位のまま」「千円未満切り捨てで」など、丸め方は必ずこちらから指定するようにしています。

③ 長い表は省略されることがある

行数の多い結果を返すとき、途中を「…」と省略してくることがあります。「省略せず全行出してください」と頼むか、行数を数えてもらって元データと一致するか確認すると安心です。

④ 計算よりも「解釈違い」に注意

経験上、足し算そのものを間違えることはほとんどありません。怖いのは、こちらの指示をAIが別の意味に解釈しているケースです。私は合計値の突合だけは必ず自分の目でやると決めています。ここさえ押さえておけば、大きな事故はまず起きません。

機密情報の扱いだけは慎重に

業務ファイルをAIに渡す前に、必ず確認しておきたいのが機密情報の扱いです。

  • 会社に生成AIの利用ルールがあるか確認する(ない場合は上長に相談してから使う)
  • 個人名・取引先名・非公開の数値は、ダミーに置き換えるか削除してから渡す
  • 利用しているプランで、入力内容がAIの学習に使われない設定になっているか確認する

この記事のサンプルも、実物ではなく架空のデータで作っています。「便利だから」で何でも入力してしまう前に、ここだけは一呼吸おいて確認してください。社内ルールの整備については、生成AIの社内利用ルール・ガイドラインの作り方でも詳しく書いています。

よくある質問

Q. 無料版でもできますか?

できます。ただし無料版は利用回数やファイルサイズに上限があるので、毎月の業務で本格的に使うなら有料プランを検討する価値はあります。まずは無料で「自分の業務に合うか」を確かめるのが良いと思います。

Q. 関数やVBAとどう使い分ければいいですか?

毎回まったく同じ形式のファイルを大量に処理するなら、VBAやパワークエリで固めてしまう方が確実です。逆に、形式が毎回微妙に違う・単発の依頼が多い、という場合はAIが向いています。前述のとおり、「固める部分のVBAをClaudeに書いてもらう」と両方の良いとこ取りができます。

Q. どのくらいの大きさのファイルまで渡せますか?

数百行〜数千行程度の明細であれば、実務上ほぼ問題なく扱えています。数万行クラスになると読み込みに制限がかかることがあるので、その場合は月別・店舗別にファイルを分けて渡すか、VBAを書いてもらう方式に切り替えるのが現実的です。

Q. ChatGPTでも同じことができますか?

できます。基本的な使い方はほぼ同じなので、この記事のプロンプトはChatGPTでもそのまま使えます。どちらが良いかは好みの範囲ですが、長い表の読み取りや日本語の指示の汲み取りで、私はClaudeの方が使いやすいと感じる場面が多いです。

どの作業から手を付けるべきか、23項目で判定できます

毎月やっている作業を選ぶだけで、仕組みにできるもの手作業のまま残るものを判定するツールを置いています。判定の4つの軸もそのまま表示するので、納得できなければ読み替えてもらって構いません。入力した内容はブラウザの中だけで処理され、どこにも送信されません。

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まとめ

  • Claudeは「ファイルを添付して日本語で頼む」だけでExcel集計を肩代わりしてくれる
  • 列名・出力形式・丸め方を具体的に伝えると結果が安定する
  • 毎月の定型集計は「手順書ごと」覚えさせると、翌月から一言で済む
  • 集計より先に「表記ゆれ・異常値チェック」から試すと導入しやすい
  • データを渡せない職場では、VBAだけ書いてもらう方式が使える
  • 機密情報の扱いと、合計値の最終確認だけは人の手を離さない

正直なところ、最初は「AIに数字を任せるのは怖い」と思っていました。ただ、確認のポイントさえ決めてしまえば、任せられる部分は想像以上に多いというのが、1年使ってみての実感です。まずは架空のデータで、一度試してみてください。

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