社内チャットツール導入、総務が進める際のポイント

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「既読は付いているのに、返信がないんですよね…」総務として社内チャットツールの導入を進めていたとき、ある部署のメンバーからそんな相談を受けたことがあります。話を聞いてみると、送った側は「既読になったから見てもらえたはず」と安心し、受け取った側は「後でちゃんと返信しよう」と思っているうちに数日経ってしまっていた、というすれ違いでした。

メールが中心だった頃は、「返信がまだ来ていない」で済んでいたやり取りが、チャットになると「既読なのに無視された」という、なんとも気まずい空気に変わってしまう。これは道具が変わったことで新しく生まれたコミュニケーションの摩擦だと感じた出来事でした。思えばメールや電話が中心の頃は、良くも悪くも「返信のタイミングは相手次第」という共通認識があったのですが、即時性が売りのチャットではそうもいきません。

総務としてこの手のツールの導入を旗振りする立場になると、契約して全社に配れば終わり、というわけにはいかないのだと痛感しました。今回は、メール・電話中心の働き方から社内チャットツールへ移行する際に、総務担当として気をつけておきたい進め方のポイントを、実務目線で整理してみたいと思います。

いきなり全社展開せず、まず小さく試して運用ルールを固める

一部の部署・プロジェクトで試験導入する

チャットツールは契約さえすればその日から使い始められる手軽さがある反面、最初のルールが曖昧なまま全社に広げてしまうと、部署ごとに使い方がバラバラになり、あとから統一するのがかなり大変になります。まずは総務や特定のプロジェクトチームなど、比較的小さな単位で試験導入し、数週間から1か月ほど運用してみるところから始めるのがおすすめです。試験導入の期間中に出てきた困りごとを拾い集めておくと、本展開の際に同じつまずきを防げます。

既読・返信のマナーを先に決めておく

冒頭の例のように、既読と返信をめぐるすれ違いは、チャット移行時に非常によく起こるトラブルです。「既読は対応完了の意味ではない」「返信が必要な内容には一言でもリアクションを返す」「急ぎのものは電話も併用する」といった最低限のマナーを、試験導入の段階で言語化しておくと、後々の行き違いをかなり減らせます。

通知設定とグループ・チャンネルの作り方を整理する

通知が多すぎて重要な連絡を見逃してしまう、逆に通知を切りすぎて気づかれない、といった声も出やすいところです。また、案件ごと・担当ごとにグループを乱立させると、どこで何を話していたのか分からなくなってしまいます。試験導入の段階で「グループを作る際の名前の付け方」「通知をオンにしておくべき場面」などをある程度決めておくと、参加人数が増えたあとの混乱を防げます。あわせて、使い終わったグループやチャンネルを放置せず、定期的に整理・アーカイブする担当を決めておくと、後から見返すときにも探しやすくなります。

全社展開に向けて、周知と使い分けのルールを整える

年齢層・ITリテラシーに合わせた説明の場を用意する

チャットツールは若い世代には直感的に使えても、普段パソコンやスマートフォンをあまり使わない従業員にとっては、操作そのものがハードルになることがあります。文字だけのマニュアルよりも、画面の画像を多めに使った簡単な手順書と、実際に触ってもらう説明会をセットで用意すると、導入後の問い合わせがぐっと減ります。一度にすべての機能を説明しようとせず、最初は既読確認や返信程度の基本操作に絞るのも一つの手です。

情報漏洩・誤送信対策のルールを周知する

チャットは手軽に使える分、取引先など外部の人を招待したグループに、うっかり社内向けの内容を書き込んでしまうといったヒヤリハットも起こりがちです。「外部の人を含むグループを作成する際は事前に上長へ相談する」「個人情報や機密情報を含むファイルを共有する前に、宛先とグループの参加者をもう一度確認する」といった、最低限の注意点は導入時にまとめて周知しておく必要があります。誤って送信してしまった場合の削除・訂正の手順や、気づいた人がすぐに周囲へ知らせられる連絡ルートもあわせて案内しておくと、万一のときに落ち着いて対応できます。

メールとチャットの使い分けを明文化する

チャットに慣れてくると、本来メールで残しておくべき正式なやり取りまでチャットで済ませてしまい、あとから経緯を追えなくなることがあります。「契約や決裁に関わる正式な文書のやり取りは引き続きメールで行う」「日常的な連絡や簡単な確認はチャットで行う」といった大まかな線引きを、具体的な場面の例つきで社内に案内しておくと、現場でも判断に迷わずに済みます。

  • ①いきなり全社展開せず、一部の部署やプロジェクトで試験導入し、既読・返信のマナーや通知設定、グループの作り方といった運用ルールを先に固める
  • ②年齢層やITリテラシーの異なる従業員が使うことを想定し、分かりやすいマニュアルと説明会をセットで用意する
  • ③情報漏洩・誤送信対策として、外部の人を含むグループの作成ルールやファイル共有時の注意点を周知する
  • ④正式な文書のやり取りはメール、日常的な連絡はチャットというように、場面ごとの使い分けを整理して周知する

チャットツールは便利な道具ですが、使い方を現場任せにしてしまうと、便利さの分だけトラブルの芽も増えてしまいます。総務が旗振り役になるからこそ、最初の小さな試験導入とルールづくりに、少し多めに時間をかけてみてはいかがでしょうか。

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