社内マニュアルをAIで整備するコツ|総務のAI活用術

AI・業務効率化

「あの人が休むと、あの業務が止まる」——バックオフィスで働いていると、一度は聞いたことがある(あるいは自分自身が、まさにその「あの人」だったことがある)フレーズではないでしょうか。

私も総務担当として、先輩から口頭で引き継がれてきただけの業務をいくつも抱えていました。マニュアル化しなければとは思いつつ、日々の業務に追われて後回しになる…という状態が長く続いていたのが正直なところです。

そんな中、生成AI(ChatGPTやClaudeなど)を使ってマニュアル整備を進めてみたところ、想像していたよりずっとスムーズに作業が進みました。今回は、実際にやってみて感じたコツと注意点を整理してみます。

マニュアルが属人化しやすい理由

業務が属人化してマニュアルが整備されない背景には、いくつかの共通した理由があると感じています。まず、「マニュアルを作る時間」自体が業務外の作業として後回しにされがちなこと。次に、担当者本人にとっては当たり前すぎる手順のため、「わざわざ書き起こすほどのことか」と感じてしまうこと。そして、いざ書き始めても、口頭で説明するように自然に話せることを文章として構造化するのは、想像以上に骨が折れる作業だということです。この「話せるけど書けない」というギャップこそが、属人化を助長している一番の原因ではないかと思っています。

AIでマニュアルを整備するコツ

① 口頭で説明した内容を文字起こし→AIに構造化してもらう

一番効果を感じたのがこの方法です。担当者に「いつも通りのやり方」を口頭で説明してもらい、それをスマートフォンなどで録音・文字起こしします。話し言葉のまま、重複や言い直しも含む生データをそのままAIに渡し、「業務マニュアルの形式に整理してください」と依頼すると、驚くほど自然な手順書の形に整えてくれます。

  • 文字起こしはそのまま渡してよい(話し言葉の乱れはAIが吸収してくれる)
  • 「手順」「必要なもの」「注意点」など見出しの型を指定すると精度が上がる
  • 専門用語や社内独自の呼び方は、事前にAIへ伝えておくと誤変換が減る

② 抜け漏れや曖昧な手順をAIにチェックさせる

担当者本人が作ったマニュアルは、本人にとって当たり前すぎる手順が省略されがちです。ここでAIに「この手順書を、初めてこの業務を担当する人の立場でレビューしてください。分かりにくい箇所や情報が不足している箇所を指摘してください」と依頼すると、担当者自身も気づかなかった曖昧な表現(「いつも通り」「適宜対応」など)を洗い出してくれます。第三者視点を手軽に借りられるのは、AIならではの利点だと感じました。

③ 更新のたびにAIに差分を整理させる

マニュアルは作って終わりではなく、制度変更やシステム変更のたびに更新が必要です。旧版の内容と変更点のメモを両方AIに渡し、「変更点を整理して、旧版のどこを直せばよいか教えてください」と頼むと、修正箇所の洗い出しが格段に楽になります。全文を毎回書き直す必要がなくなり、更新履歴の管理もしやすくなりました。

④ AIが作った下書きは必ず現場で検証する

AIが整えた文章は一見きれいで説得力があるため、そのまま完成版として扱いたくなりますが、実際の業務手順と細部が食い違っていることも珍しくありません。特に判断が分かれる例外対応やイレギュラー処理については、AIが「もっともらしい一般論」で埋めてしまうことがあります。必ず実際の担当者に見てもらい、手順通りに動かして検証する工程を挟むようにしています。

利用時の注意点

一点、強く意識しておきたいのが、マニュアルの元になる情報には、評価の基準や取引条件、個人を特定できる情報などが含まれることがある、という点です。外部の生成AIサービスに入力する前に、社名・氏名・具体的な数値などの機密情報・個人情報が含まれていないかを必ず確認し、必要であれば仮名や一般化した表現に置き換えてから利用するようにしています。会社としてAIツールの利用ルールが定められている場合は、当然そちらに従うことが大前提です。

まとめ

  • 口頭で説明してもらった内容を文字起こしし、AIに構造化してもらうと着手のハードルが下がる
  • 「初めての人の視点」でAIにレビューさせると、当たり前すぎて書き漏れていた手順が見つかる
  • 更新時は旧版との差分整理をAIに任せると、修正作業が効率化する
  • AIの下書きは必ず現場の担当者が検証してから正式版にする
  • 機密情報・個人情報は入力前に必ずチェックし、必要に応じて匿名化する

マニュアル整備は「重要だけど緊急ではない」業務の代表格で、どうしても後回しにされがちです。ただ、AIを使うことで着手のハードルと作業負荷がかなり下がるのも実感しています。ヒヤリング→文字起こし→AIによる構造化→現場検証、という流れを一つの型として、少しずつ属人化を解消していきたいと思います。

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました